教育格差という「見えない檻」を抜け出すために、私たちが手にすべき最も強力な武器。それが「自己教育(Self-Education)」です。そしてその舞台となるのが、人類が数千年にわたって蓄積してきた知のインフラ、すなわち「読書」です。
今回は、知性を磨くための「自己教育の地図」を広げ、効率的な学習環境の選び方から、世界の図書館事情までを英語(CLIL)と共に読み解いていきましょう。
1. 読書:自己教育の核心(Core of Self-Education)

自己教育において、読書は単なる知識のインプットではありません。それは、時代や国境を越えた先人たちの知性と対話する「思考のトレーニング」です。
“Reading is to the mind what exercise is to the body.”
(読書が精神にもたらす効果は、運動が肉体にもたらす効果と同じである。)
かつて私がPCを持たず、ガラケーの断片的な情報だけで満足していた頃、私の思考は「浅瀬」で止まっていました。しかし、大学の図書館にしょっちゅう行って本を借りていました。一冊の本を深く読み込むことは、情報の背景にある論理(Logic)や構造(Structure)を理解する力を養ってくれます。
2. 媒体別・学習効率シミュレーション

どこで、どのように学ぶか。その選択が学習の「ROI(投資利益率)」を左右します。
| 媒体・場所 | 学習効率・メリット | デメリット |
| 電子書籍 (E-books) | 最大(Speed & Search)。キーワード検索が可能で、スマホやPCに知識を「同期」できる。 | 誘惑(通知)が多い。 |
| 大学図書館 | 専門性(Deep Dive)。一般の図書館にない論文や学術書が豊富。 | 利用資格が必要な場合がある。 |
| 県立図書館 | 網羅性(Archive)。郷土資料や古い文献、膨大な蔵書数が魅力。 | 拠点数が少なく、アクセスに時間がかかる。 |
| 市立図書館 | 利便性(Convenience)。日常生活圏内にあり、気軽に新刊を予約できる。 | 専門書が少ない場合がある。 |
| 本屋 | 即時性(Trend)。今、社会で何が課題(Topic)になっているかを肌で感じる。 | 購入コスト(Money cost)がかかる。 |
戦略的アドバイス:
お住まいの場所にもよりますが、もし近くに図書館があるなら最寄りの図書館をベースにして新作などは本屋さんや「電子書籍(Kindle等)」で投資するのが良いでしょう。
3. 地域格差をデータで読み解く:広島 vs 福山

教育の機会は、住んでいる場所のインフラに依存します。広島県内の2大都市の市立図書館を比較してみましょう。
- 広島市(県庁所在地)
- 図書館数: 13館(中央図書館+各区の図書館)
- 蔵書数: 約275万冊(中央図書館のみで約125万冊)
- 特徴: 都市型の圧倒的な蔵書数。大学図書館との連携も強く、情報の密度が高い。
- 福山市(備後圏域の中核)
- 図書館数: 11館(中央図書館+支所図書館)
- 蔵書数: 約136万冊(中央図書館のみで約55万冊)
- 特徴: 広島市に次ぐ規模。地域に密着したサービスが充実しているが、総量では広島市に軍配が上がる。
そしてさらに広島市と福山市の大学図書館について、設置数および蔵書数を比較した調査結果です。
「自己教育のインフラ」という観点から見ると、両市には大学数・蔵書数ともに大きな差があり、特に広島市は「大学の街」としての圧倒的なリソースを有していることがわかります。
📊 広島市 vs 福山市 大学図書館比較表
| 項目 | 広島市(市内キャンパス) | 福山市 |
| 大学数(図書館設置校) | 約12〜13校 | 3校 |
| 推定・総蔵書数 | 約370万冊以上 | 約65万冊 |
| 主要な図書館 | 広島修道大学、広島市立大学など | 福山大学、福山市立大学など |
1. 広島市の大学図書館状況
広島市は、国立・公立・私立がバランスよく配置されており、各区に大規模な大学図書館が点在しています。
- 圧倒的な私立大のリソース:
- 広島修道大学: 約90万冊(市内最大級)
- 広島経済大学: 約55万冊
- 安田女子大学: 約33万冊
- 広島女学院大学: 約29万冊
- 公立・国立の専門性:
- 広島市立大学: 約35万冊(芸術・情報系に強み)
- 県立広島大学(広島キャンパス): 約28万冊
- 広島大学(霞・東千田キャンパス): 約25万冊(医学・法学等の専門書。※メインの300万冊超は東広島市)
- その他: 広島文教大、比治山大、エリザベト音楽大などがそれぞれ10〜20万冊規模を保持。
2. 福山市の大学図書館状況
福山市は大学の数自体は少ないものの、1館あたりの蔵書数は一定の規模を確保しており、地域に根ざした知の拠点となっています。
- 福山大学: 約36万冊(福山市内最大)
- 福山市立大学: 約20万冊(2011年開学ながら急速に拡充中)
- 福山平成大学: 約9万冊
💡 知性を磨くためのアドバイス:デジタルデバイドを埋める戦略
このデータからわかる通り、広島市に住んでいる場合、物理的な「本の海」に
アクセスするチャンスは非常に恵まれています。しかし、福山市においても「相互利用(Interlibrary Loan)」や「電子書籍」を駆使すれば、この物理的な差を埋めることが可能です。
- 広島市民の戦略: 多くの私立大学が「一般開放」を行っています。自分の専門分野に強い大学図書館(例:音楽ならエリザベト、経済なら広島経済大)を「第二の書斎」として確保しましょう。
- 福山市民の戦略: 福山市立大学などは最新の設備が整っています。また、大学図書館にない資料は、県立図書館や国立国会図書館のデジタルコレクションを活用することで、場所の制約を超えた「一生モノの知性」を手に入れることができます。
4. 世界の図書館:日本は「教育格差」の先進国か?

日本の図書館数(公立)は約3,400館。一見多いように見えますが、世界と比較すると「学びのインフラ」の差が浮き彫りになります。
- アメリカ: 約9,130館の公立図書館があり、地域の「コミュニティ・ハブ(交流拠点)」として機能。
- 北欧諸国(フィンランド等): 図書館の普及率・利用率が世界最高水準。「教育こそが資源(Education is the resource)」という国家戦略のもと、最新のEdTech設備が図書館に完備されています。
教育格差が激しい地域の現実
一方で、サブサハラ・アフリカや東南アジアの貧困地域では、「ライブラリー・デザート(Library Desert:図書館の砂漠)」と呼ばれる現象が起きています。
- 普及率: 数十万人に1館しかない地域も珍しくありません。
- 影響: 本に触れる機会がないことは、リテラシー(読み書き能力)の欠如に直結し、貧困の連鎖(Vicious cycle of poverty)を生みます。
日本に住んでいる私たちは、たとえ地方であっても「無料で数百万冊にアクセスできる権利」を持っています。これは世界的に見れば、「宝の山の上に座っている」ようなものです。
結論:自己教育は「環境の所有」から始まる

私が大学時代、学内やネットカフェのPCに頼っていたのは、思考を外注(Outsource)していたのと同じでした。自分のPCを持ち、自分の手元に本を置き、いつでも学べる環境を「所有」すること。それが、教育格差を突破するためのスタートラインです。
学びを止めてはいけません。
図書館の静寂と、PCが繋ぐ無限の世界の中で、「自分の知性」を育ててください。
地図はあなたの手の中にあります。あとは、どこへ進むか決めるだけです。
💡 Today’s English Keywords
- Autodidacticism: 独学、自己教育
- Lifelong Learning: 生涯学習
- Information Access: 情報へのアクセス
- Digital Divide: デジタル格差(情報格差)
- Literacy: 読み書き、および情報を活用する能力
🚀 あなたへのアクションプラン
- 図書館カードを作る: 広島市、またはお住まいの地域の図書館で、最新の「電子書籍貸出サービス」がないか確認しましょう。
- 「PC」を学習の城にする: スマホだけでなく、PCで「深く調べ、まとめる」時間を1日30分作ってください。
- 英語で1つ検索する: “World’s most beautiful libraries”(世界で最も美しい図書館)を検索して、世界の「知の神殿」を覗いてみましょう。